ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
社長は出されたベームクーヘンをフォークで切ってそして口に運んでいた。

こんな重大な話しをしているのに。

社長はわたしの一生の問題を、バームクーヘンをおいいそうに食べながら簡単にすまそうとしている。

こんなのが、この会社のトップの人間。

だけどその経営力によってわたしは今までお給料をもらってきたのも事実。


「君はいろいろと事情を知っているようだね。助かるよ。会社の存続がかかっているといっても過言ではない」

「どうしてそのために、わたしたちが犠牲にならなければならないのですか?」

「決まっているだろ。この状況は西倉くんが引き起こしたものなんだ。責任を取ってもらう必要がある」

「でもあれは西倉さんが悪いんじゃないんです!」

「そんなことはどうでもいいんだ」

「え?」

「どちらが悪いかなんていうことは問題ではないんだよ」

「どうしてです? 西倉さんが悪いのではないのですから責任をとる必要はないと思います。近藤部長は怪我もしていないんですし」


階段で近藤部長の肩に手を置いて声をかけただけなのに。

それなのにたったそれだけのことで、ヒロくんが政略結婚をさせられるなんて。

ヒロくんは普通の社員なんだよ。

どうして犠牲になる必要があるの?
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