ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
◆ 戻ってきた元彼
3月も終わりに近づいた。

あの日、食事を終えておうちまで送ってもらい、なにごともなくバイバイしたあと。

おうちのパソコンで『クエ』を検索し、うわっ『クエ』ってこんな顔してたんだってちょっとだけびっくりだった。

人は見かけによらずというけど、お魚もそうなんだなあ。

今日もそんなことをムニエルの味を思い出しながら思っていた。


一方。

お仕事の方は相変わらず忙しい……みたいです。他のみんなが。

だからわたしは今日もみなさんのために心を込めて朝のお茶出しにいそしみます。

世良課長の紅茶の準備をしながら、来週から4月かあと考えていた。




桜もだいぶ咲き始めていた。

入社して5年目。

時間があっという間に過ぎたような気がする。




「谷本さん、そこのデスクなんだけどきれいにしておいてくれないか?」


お茶出しをしているとき。

図面やCDRが積まれたデスクを目で指しながら世良課長にそう言われた。
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