ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
3月。

会社はとにかく忙しい。

なぜなら我が社の決算の月であり、なおかつ年度末までに仕上げなくてはならないお仕事がたんまりとあるから。

わたしの所属する設計課も例外でなく。

もうすでに来期受注に向けて動き出してもおり忙しさは半端ないのです。


「谷本さん、この図面をスキャナで取りこんでおいて。ふせんをつけてあるところだけでいいから」

「わかりました」


設計課の加藤さんにUSBとA2サイズの青焼き図面の製本を渡された。

すごい……手書きの図面だ。

だいぶ古い図面みたい。

丁寧に扱わないと。


「その製本、お客様から借りている図面だから気をつけて」

「は、はい!」


ああ、やっぱりだ。

見ると表紙の件名に病院の名前が入っている。

その病院は我が社にとってお得意様の中でも特Aランクのお得意様だった。
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