ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
オートマだし安定性のあるハンドルだから片手でも運転は可能だったみたいで。

世良課長はほとんどわたしの手を離すことなく家までの道のりを運転していた。

疲れないのかあ。

途中心配になっちゃって。


「もう少し力抜いてもいいですよ」


ぎゅっとつなぎ続けている手のことを言ったら。


「どうして?」

「運転しにくくないのかなと思いまして」

「それ、さりげなく拒んでいるんだけど」

「別に振りほどこうという意味じゃないですよ」

「少しの間なんだ。好きなようにさせてくれよ」


さっきよりも力が入った。


「なんか切ないですね」

「お前が言うな」


結局、平行線を保ったまま、家に着いた。
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