ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
ギアをパーキングに入れるためにつながれていた手が離された瞬間、世良課長がいつもの上司に戻った。


「遅くなったけど家の人、大丈夫?」

「平気ですよ。これでももう大人ですから」

「でも箱入り娘って感じだよな」

「そんなことないですよ」


わたしの家は普通の家庭。

父と母と大学生の弟、そして祖母の5人暮らし。

父は公務員で母は専業主婦。

ただ亡くなった祖父がこの地域に土地をいくつも持っていて、今も小さな賃貸マンションを2つ経営している。

中学は自宅から徒歩圏内にある有名私立の女子中学を受験させてもらえて、それなりの寄付金もしていたみたいだから、恵まれた環境で育ったことはちゃんと自覚していた。

高校はエスカレーター式で難なく入学し、難なく合格した女子短大は決してレベルが高くない学校。

ほかの人にはちょっとしたお嬢様に見えるらしいけど、値段を見ないでお洋服が買えるほどお金持ちじゃなくて。

つまり、ごくごく普通の女の子だった。
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