【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
奏でられる彼女の啼き声は
俺にはとても心地よくて。
何もかも
忘れさせてくれる時間。
彼女の蕾に俺自身を繋げながら
ゆっくりと動く俺に
翻弄されながら、
まるで自分のものだと言わんばかりに
背中に爪を食い込ませる神楽さん。
だけどそんな痛みも……
今の俺には心地よかった
俺は神楽さんのもの……。
そして神楽さんもまた、
俺だけの大切な宝(ひと)。
俺の所有物だと言わんばかりに
幾つもつけた
赤い花弁が彼女の艶やかな真っ白い肌に
浮き上がる。
例え……
束の間の夢でもいい。
この僅かな、
愛の夢があれば
俺は歩いていける。
神楽さんの慈愛が
俺を強く抱きとめて
不安な夜も、
傍に居てくれるから。
二人だけの愛の夢を
互いに奏で続けながら
俺たちは、
一つに溶け合った。
その日、久し振りに
ゆっくりと眠れた。
俺が唯一、
心を許せる
最愛の人が傍に居てくれたから。