【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
スポンサーだったんだ……。
相手は
そんなにも大きな壁なんだって
今更に思い知る。
藤本の子供だって
告げたところで、今度は
家族に迷惑がかかる。
そう思いながら、
ポスターから視線を逸らした。
そうやって帰宅した私の自宅ポストに
更なる追い打ちが届いてるなんて
思いもしなかった。
仕事が終わって、
泣きそうになりながらも
辿りついた自宅。
ポストを開くと、
そこには重厚な作りの封筒が1通。
寿の切手が貼られた
その封筒の裏には
多久馬恭也
祐天寺昭乃
っと二人の名前が綴られている。
震える手でその封筒を持って
家の中に駆け込むと、
玄関の扉を閉めて、そのまま崩れ込んだ。
胸が苦しくて、
息苦しい……。
肺の中に空気をいっぱい吸い込みたいのに、
想うように吸い込むことが出来なかった。
そのまま床に倒れ込むように、
意識を手放す。
床の冷たさと体の痛みで、
体を起こした私は、
もう一度、その封筒を引き寄せる。
ゆっくりと立ち上がって、
リビングに辿りつくと、
ゆっくりと深呼吸をして、
その封筒を開いた。
中から出て来たのは、
どう見ても、結婚式の招待状。
会場までの地図と、
結婚式の招待状。
そして出欠の有無を問う
返信葉書。
そして……
一緒に閉じ込められていた
1通の手紙。
*
結城神楽さま
恭也さまは、
アナタが手を伸ばしても
届かない存在よ。
アナタの無能さがわかったでしょ。
恭也さまの招待者リストの中に
アナタの名前がなかったので、
私が招待するわ。
アナタに式の参加を
拒否する権利はなくてよ。
アナタが拒否した場合、
恭也さまの夢は、
全て崩壊するわ。
パパが援助を断つもの。
わかったわね。
当日、アナタが二人を
祝福してくれるのを
楽しみにしてるわ
祐天寺昭乃
*