【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




「神楽さんは、
 これからどうするの?」

「休んでなんて居られないから、
 また今までみたいに働きます。

 働かないと生きていけないから。
 お世話になりました」




ゆっくりとお辞儀をして後にする。




流れてしまった
突然知らされた赤ちゃん。





退院した私が真っ先に出来るのは、
懺悔だった。


拾ったタクシーで、
水子供養をしているお寺がないか尋ねる。


優しい運転手さんは、
私が告げた
その目的の場所まで車を走らせてくれた。



「有難うございます」



車が止まって、
タクシー代を支払おうとした私に
その女の人は小さく告げた。




「お客さん、思いつめちゃダメですよ。

 天国に帰ってしまった赤ちゃんの事を忘れなければ、
 ちゃんとまた帰って来てくれますから。

 お母さんとお父さんの傍に。

 今は神様の傍に帰ってしまっても、
 ちゃんとまた来てくれるから。

 
 私も経験者なのよ……。
 だから……」



そう言って、
運転手さんは私に話しかける。



そんな運転手さんにお礼を告げて
車を後にした。



住職にあって……
水子地蔵尊の前で
ゆっくりと手をあわせる。



何度も何度も、
心の中で謝り続ける。





ちやんと私がアナタの存在に
気が付いてあげることが出来ていたら……。



地蔵様の前で
座り込んで手を合わせる私に、
あのタクシーの運転手の女性が
もう一度近づいてきて声をかける。

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