【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
4.息子の発病 -神楽-
祐天寺一族の企業買収問題を
世間が賑わす。
祐天寺の名字を聞くたびに、
恭也の事が心配になった。
何度も何度も、今も消すことが出来ない
電話番号を画面に表示しては
何もせずに携帯を閉じる。
無意識のうちに繰り返すその行動は、
真人を不安にさせるのか、
甘えたがるようになる。
そんな真人を抱きしめながらも、
ただTVの画面に見入る時間が続いた。
「神楽ちゃん、
このニュース始まってからずっと見てるけど
気になるの?」
心配してくれる倫華にも
真実を話すことは出来ない。
「知ってる苗字なのよ」
ただ私はそう言って、
恭也を思い出してた。
「デカい会社が欲を出すからそうなるのよ。
一般人の私たちは、身の丈にあった生活を
しっかりしてればいいの。
って、もしかして……
真人君の父親と関係あるの?」
そうやって声を潜めた倫華ちゃんの言葉に
思わずドキっとする。