【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
「神楽ちゃん、うちのバカ息子が
本当にごめんなさいね。
馬鹿は何時まで
経っても治らないのよ。
だけどもう安心して。
バカ息子と勇生君が居たら、
心配しなくていいわよ。
神楽ちゃんの宝物は、
私にとっても宝物。
なんかおばさん、孫が出来たみたいで
そわそわしてるの。」
久し振りの再会は、
自然すぎて、張りつめていた心が
一気に緩んでいくのがわかった。
あんなにも怖かった再会も
今はこんなにも、
心穏やかに迎えられた
そんな自分自身に戸惑いながら
その日は久し振りに恭也君と、
恭也君のお母さんと三人で過ごした。
リクエストされるままに
演奏することが出来るピアノ。
このピアノがあるから、
私は私のままで居ることが出来ているのも
確かで……最初にこのピアノと繋いでくれたのは
間違いなく、
親の背中を見つめ続けていた両親以外の何者でもなくて。
憑き物が落ちていくみたいに
スーッと心が軽くなっていくのがわかった。