【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
9.彼女の条件 俺の条件-恭也-
彼女をマンションに
連れ帰った俺自身。
あの時の懺悔が出来るなんて思えない。
それでも俺は、
もう一度彼女の笑顔が見たかった。
俺が奪ってしまった笑顔を
ただ取り戻したい。
少しでも理由を見つけて、
距離を取ろうとする彼女を
こんな形で強引に縛りつけた。
この形が正しいとは言い切れない。
だけど……
これくらいやらないと
彼女はまた俺の前から
黙って消えてしまうようなそんな気がして
不安で溜まらなかった。
どの患者さんも平等で。
当たり前のようにわかっていることも、
実際には、
割り切って上手くこなすことが出来ない。
彼女が金銭面を気にして、
俺から離れようとするなら
彼女が出来る範囲の仕事で
俺が給料を支払いたい。
こんな風に思うなんて、
俺自身もかなり必死だななんて
自分自身に笑えた。
なりふり構うことのない俺自身。
俺をここまで掻き乱して
ただの年下の男の子にしてしまうのは
何時も……
神楽さん、ただ一人なんだ。