【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
神楽さんは……。
「俺は神楽さんも助けるし、
真人君も助けるよ。
家族を失うのは
もう嫌だから……。
昭乃のことなんてどうでもいい。
祐天寺の実権だって今は
俺の手中にある。
そろそろ……自由になったって
いいだろう」
ずっと抱え続けていた
そんな俺の本音を零した時、
彼女はまっすぐに俺を見据えた。
「隠し続けても仕方がなから伝える。
確かに真人のお父さんは、
恭也君よ。
だけど真人には、
パパは仕事で遠くに行ってるって
ずっと話してる。
私には真人がいるもの。
真人は助けて欲しい。
恭也君が心配してくれるなら、
私の体の事も、
恭也君の思うようにしてくれたらいい。
だけど……
真人には、貴方が父親なのだと
伝えるつもりはありません。
真人が治ったら、
私はまたあの場所に二人で帰ります。
恭也君には、恭也君の家族があるから。
祐天寺さんに助けて貰った恩があるなら、
ちゃんと返さなきゃ。
アナタが選んだ、
昭乃さんを守ることが
勝矢君を守ることが、
一番大切な事でしょ。
明日、また9時くらいに真人の病室に行きます。
会うための許可が必要なら、
その頃に連絡します。
素敵な居場所を有難う。
アナタの家族の元に帰って」
告げられた言葉が、
残酷なほどに突き刺さる。