【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】



だけどそんな暖かい時間に
溺れることは出来ないの。



真人と私の人生と、
恭也君の人生は、道を違えてしまったの。




そんな風に何度も何度も言い聞かせて、
この想いを湖の下に
沈めたのは私だから。





恭也君を苦しめるなんて、
出来ないから……。





恭也君は約束通り、
マンションへと送ってくれる。



その後も、何時ものように
貸してくれた部屋へと上がって来て
そこに、恭也君のお母さんがご飯を作って運んでくる。


三人で食べて、
手渡された薬を飲んで、
二人に所望されるままにスタインウェイを奏でて
夜を迎える。




私が緊張から張りつめ続けないように
ずっと見守ってくれていたから
私は……真人が、手元に居ない不安からも
救われているのだと、そんな風に思えた。
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