【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
12.それぞれの闘い Ⅱ -神楽-
恭也君から告げられた告知。
不安なのは、
恭也君も同じ……。
ううん、真人が恭也君の子供だと
恭也君自身が知ってる今、
その不安は私の比じゃないと思う。
それでも彼は、
助けると言ってくれたから。
オペが決まった日から、
オペの日まで、
時間が過ぎるのはあっという間で
私自身も相変わらず、治療を続けながら
マンションと病院を往復していた。
心に引っかかるのは、
真人が恭也君に持ちかけた約束。
元気になったら遊園地に行きたい。
その言葉に
母親だけじゃダメなんだ。
父親も必要なんだっと
深く突きつけられた気がするけれど
私は、恭也君に真人のお父さんになってあげて……っとは
言いだすことが出来ないでいた。
あの日、私から恭也君を奪っていった
昭乃さんのように、
私が勝矢くんと昭乃さんから恭也君を奪い取ったら
同じことの繰り返しになると思ったから。
どんな形にでも、
残された側の傷は深くなる。
だからこそ……真人も我儘も
我慢させようと思ったのに、
恭也君は、ゆびきりをしてしまった。