【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】


「お疲れさま」

「うん。
 なんか、一気にお腹空いたなー」


そう言って勇生君は
冬君の肩をポンっと叩く。


「神楽ちゃん、オペは無事に終わったよ。
 真人君は頑張ったよ。

 恭也との遊園地の効果か?
 暫くは集中治療室で様子見るけどな」


そう言うと、再度開いた扉から
ストレッチャーで
寝かされたまま運ばれてくる真人。


その隣を付き添ってくる恭也君。




「二人とも、お疲れ様。
 後の経過観察は私の仕事よ。

 真人君の事は任せて、
 勇生は冬生とご飯行っておいで。

 神楽ちゃんは、
 そうね恭也君と
 一緒に居る時間が必要かな」



そう言うと、白衣姿の美雪さんが
真人の隣について、
的確に指示を出しながら
動いていく。





「んじゃ。

 録画したオペを見ながらの
 説明は、今はやめとく。

 落ち着いたら恭也から聞いてよ。

 ちなみにソイツ、
 昨日一睡も出来てないはずだから
 後は、宜しく」





勇生君はそう言うと、
冬生君を連れて、
私たちの前から姿を消した。




「恭也君……有難う」




改めて紡ぎ出した言葉。


笑い返した恭也君は、
そのまま壁に持たれるようにして、
座り込んだ。




「恭也君……」


もう一度名前を紡いだ私に、
恭也君は、
『ほっとしたら、力が抜けた』っと
独り言のように呟いた。





そんな彼を見ている間に、
無意識に両手を
彼の首に回してしまう私。


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