【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




「先生、こちらへ。
 ご案内します」


医薬品の物資と救援物資を手早く降ろすと
そのまま俺は、持ってきた物資と共に
松崎が奮闘する病院へと急いだ。


ヘリはその場で待機。

現地の判断で、
後は患者の搬送にも使えるように託した。




辿りついた病院事態も
正面玄関の壁の一部は剥がれて、
内部もいろんなものが散乱しているありさまだった。


そんな中で必死に、
院内をかけづり回る医療スタッフ。

病院内の廊下には、
トリアージのタグで治療の優先順位が
明らかになっている。




「松崎」


姿を確認した途端に、
声をかける。


「多久馬、悪い。
 少し手伝ってくれ」


言われるままに、
医療物資を現地のスタッフに預けて
そのまま松平と共に向かう。


「地震のショックで
 心不全を起こした患者だ。
 
 俺はもう一人の患者で手一杯で」

 
松崎に言われるままに
処置室に飛び込んで、
神楽さんたちのことは気になりながらも
目の前の命を助けることに奔走する。


次々と途切れることのない患者の数。

処置に追われて抜け出せない
俺自身の立場に、内心イライラとしながらも
救急隊が姿を見せるために、
神楽さんと真人の搬送がないのかが気になって仕方なかった。


1日目が過ぎて、気が付いた時には2日目の朝。



「多久馬、悪い。

 病院スタッフが一人来たから、
 離れていいぞ。

 結城さんと真人君探しに来たんだろう。

 病院の待合室のところに、
 少しずつ入って来た各、避難所や病院で生存確認された人たちの名前が
 公表されてきてる。

 まだ少ないけど、手掛かりにしてくれ。

 
 後、神前と鷹宮さんから、同じように医療物資が今日届くらしい。
 お前が頼んでくれたんだろう。

 有難う」


そう言うと、また戦場とかした
その場所へと松崎は帰っていく。

俺は逆に、病院の外へと歩いていく。


避難場所になっている学校、この場所以外の病院。

そして二人が暮らしていた
住所にかかれたある場所へ。




ただ二人を求めて歩き続けた。



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