【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
「……抱いて……」
掠れるように呟いた声。
暫くして……
恭也君が降らす……優しい羽が
私の体をピンクに
染め上げた気がした……。
彼と体を重ねた
最初の夜。
朝……。
私が目を覚ました時には、
もう恭也君の姿はなかった。
裸のまま、シーツを引き寄せて
体に巻きつけると、
ゆっくりとベッドから這い出す。
キャビネットの上、
ポカリスエットと、彼からの手紙。
★
神楽さんへ
今日は無理しないで。
二日酔いに効くから、
朝起きたらポカリ飲んでください。
お大事に。
恭也
★
真っ白い小さなメモ用紙に記された
小さな文字の手紙。
その文字の上を
指先で辿る……。
……恭也君……。
覚えてるわけじゃないけど……
今も残る、
痛みが……
最初の夜の証……なのだと思う。
ベッドにもう一度座って、
ポカリへと手を伸ばすと、
ゆっくりと恭也君からのプレゼントを
口に含んだ。