【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
「恭也、彼女
あの後どうだったの?」
今度は勇生と違って
面白がってる素振りもなく
質問を投げかける雄矢。
「一晩……
一緒だった……」
「そっかー。
思ってること伝えられた?」
伝えられたかと言われると、
俺自身の気持ちには
一切告げられずに……流された昨日。
俺は黙って首を横に振ると共に
俺自身が情けなくなる。
「まっ、頑張りなよ。
一晩一緒に過ごせたってことは、
脈ありって捉えてもいんじゃない?」
そう言って
俺を励まそうとしてくれる雄矢。
勇生はと言えば、
携帯で彼女とのいつもの日課。
メ-ルのやり取りをしながら
今日の予定を組んでる。
その日は一日、
欠伸も止まらず……
散々な日で……。
講義にも集中出来るはずもなく
時間だけが過ぎて行った。
彼女の柔らかな肌の感触が
今も……この指先に残ってる。
次のレッスンの日。
どうやって
顔を合わせればいいのかわからず、
俺はレッスンを休む旨を
神樂さんのパートナーに伝えた。
逢いたい……。
逢いたいのに、
逢いに行けない……。
知りたいのに……
深く近づけない。