【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




大学・バイト・読書。




そんな時間に追われている間に、
一週間はあっと言う間に過ぎて、
いつものお稽古日、
大学の帰りに立ち寄る。



そこで働く彼女は、
いつもと変わらない素振りで
同じ時間を共有した。



その夜、平和だった俺の家に
突然の異変が起きた。




帰宅して晩御飯を食べ終えて、
いつものように心理学の本を読み漁っていた俺は、
喉が乾いて一階へと降りた。



いつものように、
一階ではリビングのテレビがつけっぱなしになっていて
そこでおふくろは大声で笑っているはずなのに、
そこにおふくろの声はない。


キッチンへと立ち入ったとき、
シンクの前で倒れているおふくろを見つけた。





近所のおじいちゃんが急変したとかで、
往診に出かけてしまった
親父に連絡をするのと同時に、
救急車を手配。



すぐに帰ってこられない親父の代わりに
救急車に乗って、
神前悧羅の大学病院へと搬送された。







その場で緊急手術となり、
おふくろは脳に出来た血栓を除去するため
頭を開く。




オペは成功したものの、
おふくろの右半身には麻痺が残る形になった。







神楽さんのことが気になりながらも、
患者を抱える親父が、
おふくろの看病に通えるはずもなく、
入院中のおふくろの介助は
同じ敷地内にある大学に
通う俺が必然的にお見舞いに通う形になった。





通学と共におふくろの病室に顔を出して
朝の介助。



講義の後、また顔を出して
おふくろの洗濯ものなどを回収。


バイトに行って、帰宅して
親父と一緒に家事を分担する。


っと言っても、殆ど家のことをしたことがない
昔ながらの堅物の親父には
家事なんぞ期待できるものでもなく
殆どが俺の仕事になる。



日々の生活に追われる生活は、
神楽さんのもとに
ピアノレッスンに会いに行く時間を
捻出することがなかなか出来ないでいた。






神楽さんのことが気になりながらも
俺は日々の生活だけで
精一杯だった。


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