【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




「遅くなりました」

「いいえ。
 こちらこそ。

 恭也君、お母さまのことで大変なのに
 来てくれて有難う」




そうやってお辞儀をして、
椅子に座る文香さん。



「勇生くんもごめんなさいね。

 アナタしか、
 パイプになってくれそうな人がいなくて」



そうやって
勇生に話しかける文香さん。




この三人で集まったってことは……。




「あの……。
 神楽さんに何かあったんですか?

 俺……一番傍に居たい時に、
 隣にいれなくて……」



神楽さんが今は、
大変な時期だって知ってる。



母親のことさえなければ、
親父に殴られても、
彼女の家に泊まり込んでたかもしれない。




それほどに、
最後にみた彼女は
震えていたから。



放っておけなかったから。






彼女が心に抱く、
深い闇を少しでも
俺が拭ってあげることが出来たら……。






その思いは……
俺自身の将来の道標にもなりつつあった。



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