♥ラブ・ルーム♥ー甘いキミとの奇妙な監禁生活ー
ベンチに座ってからも、彼女は何も言わずただ泣き続けた。
俺は彼女の隣に座り、モンブランにお手をしてみたり、おまわりさせてみたり、ポケットに入れていたおやつをあげたりと…
そんなことをしながら、彼女が泣き止むのを待つしかなかった。
彼女が少し泣き止みだした頃には、もう外はすっかり暗くなっていた。
まだまだ昼間は暑いというのに、夜にもなれば一気に気温が下がる秋。
「……寒くね?大丈夫?」
そう訊くと、彼女は鼻声で「…大丈夫。」と応えた。
そう俺が話だしたのをきっかけに彼女が口を開く。
「…ごめんね、唯斗。急に呼び出して、しかもずっと隣にいてくれて…。」
「……いいよ、俺は別に。ってか、家帰んなくて大丈夫?もう、8時だけど。お前ん家、けっこう厳しいだろ?」
そう言うと、彼女はまた黙りこんでしまった。
……家でなんかあったのかなぁ〜…そう考えていると、
「…唯斗……お願いがあるの。」
さっきまで弱々しい口調だったのに、急に強い口調でそう言うと、彼女はまだ涙で潤む瞳で俺を見つめる。
.