無題



えりネェはあたしの肩をポンッと叩く。

「大丈夫!この時間はそんなお客さん来ないし、来たとしてもこの名簿表に名前を書いてもらうだけだから」

えりネェは引き出しから一冊のノートのようなものを取り出し、あたしに渡した。

これが名簿表らしい。

「ちなみに、会員のお客さんならカードの番号もメモしといてね。あ、あと電話が来たら、折り返し電話しますって伝えといてほしいな。ちゃんと電話番号も聞いてね」

「はーい」

あたしは受けとったノートをぺらぺらとめくる。

名前がぎっしり埋められていた。


「まぁもしわからなくなったら、私の携帯に電話して!すぐ出るからさ。じゃあ頼んだ!」

そう言うと、えりネェはものすごいスピードでスタジオを出ていった。

ポツンと一人残され、しばらくは休憩用のイスに座って時間が過ぎるのを待つことにした。


えりネェが買い物に出掛けて何時間もしない内に、一人のお客さんがスタジオに入ってきた。

少し胸が高まる。

あたしは今、ここの店長なんだ...!

「いらっしゃいませ!」

気合いの一声をあげた。


しかしふとお客さんの方を見ると、見たことのある顔である。

「あっ...」


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