アサ・ガオ
ちょっと前まで同じ所に居たのに
完璧に目覚めたからには容赦はない。
ベッドの中には半分だけ人の形を残したまま空洞を維持して
壁側にぴったりひっついている黒い物体。
途中でなくなった体温の代わりか
私が大事にしている抱き枕をぎゅっと抱きしめながら小さな呼吸をしている。
まずは布団をトントンっと軽めに叩く。もちろん優しく。
反応は・・・
うん、今日も、なし。
よーし。それじゃあ、
「あーっ!こんなところにぃ!!!ドラ○モンがいる~!」
「えっ、、でもおっかしーな。なんで”髪の毛”あるんだろ。」
えいえいっと艶のある黒髪を引っ張ってみる。
だんだん強めて・・・・
「ねぇ、ドラ○も~ん、こっち向いてー?ねーねー○コプター出してよぉ!」
と、次第に黒い物体の眉間に皺がよっていく。
よっし、ここだ!
えいっ!!と思いっきり布団を足元まで剥がして
「ようちゃん、いい加減起きましょう?」
一気に暖を失って、抱き枕にこれでもか!というぐらいにきつーくしがみつき
体をぶるぶる震わせている。
「遅刻するよー。浮気するよー。」
刹那、ガバっと勢いよく起き上った物体の今日の第一声は
『浮気だめぇぇええいっ!!!!!!!』
そうしてようやく彼は目覚めたのです。(笑)