派生小説2話
僕は、言われるまま交差点を渡ったらひょこっと自転車から降りて。

「じゃあ。有り難う。後で」

と僕の瞳を一瞬覗いてすたすたと歩いて行った。

黒のコートに黒髪が風にゆらされてさらさらとなびいている。

あまりにも格好いい姿に僕は、見惚れてた。

うわぁぁぁ。

名前聞くの忘れた事や『後で』って何が後でなのかさえ僕には分からない。

後を追い掛ける事が何だか追い掛ける気になれない。

僕自身も分からないが逢えるようなあの女性の声が聞けただけでも幸せを感じた。


呆然と黒髪の女性が去るのを見送っていた。

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