聖しこの夜、君と2人で
“手術中”と赤く光る部屋の外に、あたしはいた。
「「雪帆…」」
両隣に、亜子とはーちゃん。
2人ともあたしの手をギュッと握ってくれていた。
燈真は今、手術室の中にいる。
結局、あのドナーの骨髄を移植出来る事になって、急遽手術になった。
あたし達の座る向かいの長椅子には、燈真の両親がいた。
2人とも手術室を見つめて、一言も言葉を発さない。
燈真を待っていた時間は長かった。
気がおかしくなるような静けさの中、あたしを含めた5人は同じ事を祈っていた。
“どうか燈真の手術が成功しますように”
あんなに強がってた燈真だけど、本当は弱り切っていた。
病院のベッドに寝たきりの日々。
毎日投与される抗生物質。
常に隣合わせの死への恐怖。
燈真はそれでも笑っていた。
“当たり前だろ雪帆様??”
あたしに心配かけまいと、笑っていた。