キミに捧げる最後の恋
住む世界
例えば大金持ちとお金を持ってない庶民は、買うものもやることも、仲良くなる友達も違う。
住む世界も見る景色も違う。
そんな自然と出来た法則のように私たちの関係も同じだった。
レンはホスト、私は古ぼけた小さな喫茶店のバイト。
レンが身につけるものが、光に反射して大きな輝きを見せる金色のネックレスだとしたら、私の身につけるものは300円ショップで買った小さく輝くブレスレット。
レンが食べるものがステーキのディナーだとしたら、私が食べるものはマックのハンバーガー。
もともと住む世界が違うのは、出逢った日から気が付いていた。
だけど、もう引き返すなんて手遅れな話で、顔はもちろん、レンの指の細さや温かさ、甘い香水の香りを鮮明に頭と体に植え付けられてしまった。