あなたの牙で潤して
着いた場所は屋上。
「寒い…。」
ぽつりと呟いたのが聞こえたのか、彼は上着を私の肩にかけた。
昨日と同じように優しく…。
「…あ!!持ってくるの忘れた!」
「ん?あぁ、ブレザーか。いいよ別に」
そう言って、その場に座り込む。
そして、私を上目遣いに見て、座れと目で即した。
「…で?理由。」
私は、一応話した。
一人暮らしだからお金が必要だということ。
「学費とかなんとかは、親とかに払わしとけよ」
「…父と母は、私が幼い頃に亡くなりました。」