あなたの牙で潤して

「離してくださいー。私の家、こっちじゃない…」

「お、きたきた。ほら乗れ」

黒いぴかぴかの車に乗せられた。
中は広くて、冷蔵庫もある。

金持ちだったのね。

「ってそうじゃない!私を帰して」

「今から帰るぞ。俺の家に住ませるって言っただろ」

…そういえばそんなこと言っていたような気がする。

偉そうに足を組んでこっちを見ている。
…なんでこっち見てんのよ。見ないで!

睨んでみると、ぶはっと吹き出して笑っている。
変な顔したつもりないんだけど…。

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