あなたの牙で潤して

意外と早かった。

「…じゃぁ、ななちゃん、やろうか」

私は、援助交際のときは名前を変えている。
そうしなきゃ、バレてしまいそうで、怖くて…。

怖いならやめればいいのにと、自分にいつも言い聞かせていた。


ベッドに押し倒されて、首筋に顔を当てられる。
キスは、ない。そういう条件だ。
だから、まだキスをしたことなんかなかった。

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