‡仮想リアル‡
「な、何にもない♪アハ☆」
「亜稀羅!?」
「えへへ〜♪ちょっと遊んでみましたぁ!」
そうおどけて見せる亜稀羅はいつもの笑顔を浮かべていた
「って、演技かよ!」
そう言う俺は自分の言葉に違和感を覚える
それが、何なのかわからない……
「えへッ♪やぁーい引っ掛かった、引っ掛かったぁ」
ケラケラ笑う亜稀羅の笑顔にも何処か余裕がないようにも見えてきた
何なんだ……?
「あのなぁ……」
呆れながら呟く俺に亜稀羅は勝ち誇ったように笑うと
「じゃあ、僕こっちだから〜また明日ね!朔夜♪」
まるで留まる事を拒否するように亜稀羅は信号を渡ると走って行ってしまった
「お、おう!?じゃあな」
俺は違和感を懐きつつも、あまり気にもとめなかった
“また明日ね”
この日を境に亜稀羅からこの言葉が聞けなくなるなんて
その時の俺は
思ってもみなかったんだ──