‡仮想リアル‡
「じゃあ、早速家帰って用意しなきゃな……」
「お泊まりセットを」
波がニヤッと笑いながら言うと続いて優希が付け足すようにそう言った
って、お泊まりって何時決まったのさ?
困惑する私を他所に百合亜はニコニコしながら「了解です♪」と言った
あっ、決定しちゃった
「さぁ、もう決める事もないし、帰ろう」
そう波が合図のように席を立ち廊下に出ていく
「蓮ちゃん?」
百合亜の声に私はハッと数秒遅れて席を立つと百合亜と一緒に廊下へ出た
そして、私達はそのまま玄関に直行する
ドドドドドドドドドド──……
ふと遠く……いや、もう随分近くに来てそうな地響きが聞こえた
と言うよりは誰かが大きな音を出して走っている感じだ
「チッ…来る……」
優希は舌打ちをすると持っていた鞄を顔の高さまで上げる
「優希ちゃん何やってるの?」
百合亜が不思議そうな顔をして首を傾げる
「ああ、見てればわかるよ」
そう言う波の顔は微かにひきつってるようにも見えた
その間にも音はどんどん近付いてきていた
そう……確実に此方に