‡仮想リアル‡
待つこと約1分──
丁度1分に差し掛かる59秒の時、階段から誰かが飛び出した
「優希ちゃぁぁあん!!」
その何処か聞いた事のある声が廊下に響くと同時にその人物は真っ直ぐ、優希にむかって跳んだ
しかし、優希は鞄を顔の高さまで上げていたのを瞬時に振り被り、
「くたばれ……」
その人物目掛けてぶん投げた
……はぃぃぃいい!?
いきなりの事に私は声もでない
百合亜は唖然と固まっている
だが、その人物は察知していたかのように避け、着地した
「ふっ……そう何度も同じ手は喰わない──ブハッ」
流石の優希もこれには多少驚いたようだったが──それも直ぐに無表情に戻り、もう片方の手に持っていた鞄をカッコつけ馬鹿にクリティカルヒットさせていた
ものの僅か数秒の出来事!
「未々、甘いわね……馬鹿が」
そう優希は勝ち誇ったように言う
「……おい優希、その鞄、私の何だけどねぇ」
顔を卑屈かせながら波は言う
どうやらさっき彼をブッ飛ばした鞄は波のだったようだ
「悪かった、ついよ、つい」
そう言う優希の声に感情は隠ってなかった