‡仮想リアル‡

そして──

「どんな事をやられても俺は泉が好きなんだぁぁぁあぁああ!!」

そう叫んだ
私は目を見開く

「わぁ…劇的な告白だぁ、良いなぁ優希ちゃん」

百合亜は羨ましそうに呟いた

「あの百合亜さん?これは……」

こっぱずかしい上にタイミングが微妙ですって

私のそんな心の問い掛けに百合亜は気付くはずもなく目を輝かせている

一方の優希は鞄に付いている塵を払うと前河を見た

これまた無表情に……

そして、場はさっきと打って変わってシーンとなった



不意に優希は壁に掛けてある時計を見るように視線を前河から時計に変える
私もつられて時計に視線をむける

─4:36─

時刻は教室を出てから30分は立っていた
私は優希に目線を戻す
すると、優希はこちらにゆっくり目線をむけ

「……波、そろそろ帰るわよ」

劇的な告白を完全にスルーですか!?

「優希ちゃん!俺の告白はスルー!?」

長い沈黙の後にそう言われずっこける寸前で言う前河
しかし、それすらも優希はスルーし、スタスタ昇降口を出ていく


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