‡仮想リアル‡
「何で離すのさぁ!!」
そうふて腐れる奴を見てまた俺は溜め息を付いた
「お前一応“女”だろ?」
「…………違うもん!男だもん!!」
じゃあ、その間は何なんだよ…?
何て聞いても無駄なのは知っている
コイツは自分を男だと言い張り続けるからだ
「兎に角、抱き着くのはいい加減止めろ…困る」
「別に僕困んないもん!」
だから俺が困るんだよ
何て、死んでも言わねぇな特に奴には!!
「…で、お前何しに来たわけ?」
「お前じゃなくて名前呼べぇい!」
そう変な語尾で近くにあった机をドンと叩く奴
少し吃驚したのは…気のせいにしとこう
「わかったから亜稀羅(アキラ)…で、何の用だよ?」
俺はそんな奴こと亜稀羅に優しく問い掛けた
亜稀羅は満足そうに微笑む
この顔が…駄目だムカつく
「別に用ないけど♪用もないのに来ちゃ駄目なのぉ?」
と、今度は首を傾げる亜稀羅
これだけならただの幼い少女だ
なのに……
「否…別に…」
「でしょ!?なら良いじゃん♪僕、朔夜からかうの好きなの」
そう笑顔で言う亜稀羅に
「帰れ」
俺はクワッと瞬時に言ってやった
やっぱりムカつくわ…