‡仮想リアル‡

そんな俺の言葉を聞いて亜稀羅はさっきまでの威勢から打って変わってシュンと拗ねてしまった

「……あー、亜稀」

「来たー!」

俺が亜稀羅に近付こうと手を伸ばした瞬間
突然、亜稀羅が椅子から立ち上がると廊下側に回れ右をした

俺の手は虚しく宙を舞った


亜稀羅…お前がわからないよ…


俺はニコニコしながら教室のドアが開くのを恐らく待っているであろう亜稀羅を見て自然と溜め息が漏れていた










ドドドドドドドドドドドド──



クラスの奴等の話し声と混じって何かが勢い良く近付いてくる足音が聞こえてきた

来る…彼奴等が!!

俺はとっさに身構える
身構えている間も徐々に近付いてくる大きな足音に俺は息を飲んだ
亜稀羅は相変わらず楽しそうにニコニコしている


その瞬間──

勢い良く教室のドアが開いたかと思うと

「瑞樹様さーんじょーうーぉおぉおおおおおお!!」

そいつは勢い良くスライディングをし、これまた見事なまでに教卓に突っ込んでいった

これぞ正しく漫画の1場面の様だ

それを見たクラスの奴等は爆笑
酷いが…俺は他人のふりをするように視線を逸らしていた


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