溺愛彼氏×ドジな彼女
「佑斗っ…もうっいいよっ」
涙混じりの莉音の声。
今の俺には、届かない。
「莉音っ!!」
騒がしさに、気づいたのか教室へ姿を見せる凛と望。
凛は、莉音に近寄り自分の上着を着せる。
「佑斗クン、もう辞めとけって!!!」
「だけど、コイツが…」
「それ以上やったら、莉音がまた泣くことになるねんで!?
いいんか!?」
「っ…」
ドサッ
俺が手を放すと、その場に倒れこむ男。
「もう二度と、莉音に手ぇ出すんじゃねぇぞ!!!!
お前も!!
これ以上、莉音を傷つけんじゃねぇよ!!!」
教室中に響く声。
今まで、こんな大きな声を出したことがない。
だけど、出さずにはいられなかった。
莉音を傷つけた奴らにも…
間に合わなかった自分にもいらついて。
自分の感情がよくわからなくなる。