私をブー子と呼ばないで
「付き合いたい…じゃなくて、結婚?」

「そうだよ。結婚。僕が莉子のご飯を作ってあげたいんだ」

「はい?」

「夢だったんだ、ずっと。莉子のために料理するの」

 翔太がニコニコと笑う。

 とても幸せそうだ。

 私のために料理?

「いつも美味しそうに料理を食べる莉子の姿が大好きで。昨日、僕が作った料理を食べてくれる莉子を思って、再確認したよ。やっぱ僕は莉子が好きって」

「あ…うん」

「だから、僕と結婚して」

 指輪を差し出す翔太に、私はストップをかけた。

「やっぱ、ちょっと待って。いきなり結婚は、いきなり過ぎだと思う。まずは付き合おう」

「莉子がそう言うなら……」

 翔太は指輪の入っている箱をパタンと閉じると、キッチンのカウンターに置いた。

 その顔は、凄く寂しそうで。私のほうが申し訳ない気持ちになってしまう。

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