はだかの王子さま
 そんな想いが頭の中で、ぐるぐる巡って言葉になんか、出来ず。

 黙っていたら、とうとう星羅が『……わかった』とつぶやいた。

 え……っと。

 星羅。

 わたしの肩を抱いているのは、そのままで、微笑む顔も変わらずに。

 いや、星羅の笑い方……ちょっと変わったかな……?

 目の輝きも、心なしか鋭くなって……

 なんか、雰囲気が怖い……んですけど。

 何が、どう『わかった』んでしょう、か?

 もしかして、わたし。

 星羅を怒らせちゃった……のかな?


 内心、どきどきしながら眺めると、星羅はため息をついた。

「いいや。真衣にその気がないのなら。
 僕の方が、脱ぐことにするから」


 え、えっ……!

 脱ぐって何を!!


 びっくりしているわたしの目の前で星羅は、肩を抱いていた左手をそっと外すと、着ているシャツの袖を肘までまくった。

 そして、今までの軽い緊張感を解いて、ふぃ、と悪戯っぽく笑う。

「真衣、見てて?」

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