はだかの王子さま

 現代日本では、妖怪も怪獣も、幽霊もいないことになっているんだもん。

 もし星羅が、人間じゃないコトってバレたら大騒ぎよ!

 小説や、マンガ、映画とかにしか存在しないはずの不思議な生き物たち。

 キングダム・リゾートやフェアリーランドでは、特殊メイクのひとや、ぬいぐるみに混じって本物が歩き回っているけど!

 だからこそ、星羅が本物の狼男だってバレたら、他のヒトたちに迷惑がかかるから秘密にしてないといけないの!

 一応。

 ここは、一般車両の乗り入れを禁止された、人工島キングダム・リゾートへ渡る電車やバスの乗り換え駅と。

 フェアリーランドへ直通してる動く歩道の入り口がある都合上。

 観光客が置いてゆく、車の巨大駐車場のある街とは言え。

 ごく、普通~~の街なんだ。

「ち、ちょっと! 星羅!
 こんな人ごみの中で、一体何をしてんのよ!!」

 焦って思わず、声を出せば。

 ただでさえ目立つ、星羅の方に、ファミレスに来ている人達の視線が集まって来ちゃった!

 しかも、星羅が注文したらしい。

 わらび餅と抹茶のセットを運んで来た、ファミレスのウェイターさんなんて。

 星羅の手の変身を間近かで見て驚いたのか。

 スィーツのトレイは、とっくにテーブルに置いたのに、引っこまず。

 何かモノ言いたげに、わたしと星羅の左手を、交互にみつめてる。
 
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