はだかの王子さま
 いくらなんでもこんなに急に、なんて変だ。

 心配になって聞いたら、星羅は狼の耳をぴこっと下げた。

「~~ん~~そうだね~~
 でも~~フルメタル・ファングに噛まれたからって、普通はこうならないんだよ。
 僕らはよっぽど、相性が悪いんだね~~
 ま、流れる血の家系が遠すぎて、少しはマズいかな? とは思ったけど。
 ここまでクるなんて思ってもみなかったよ」

「そんなにのんきに言ってる場合じゃないでしょ!」

 星羅の言葉は落ち着いてるけど、本当にあっっいんだってば!

 お薬はないのかしら?

 もしかしたら、お医者さんに見せなくちゃ、いけないんじゃない!?

 星羅が心配で、なんとかしようとソファーベッドから降りようとしたのに!

 彼は、わたしの服の端を、前足でふんづけた。

「ちょっと! 放してよ!」

「なんにもいらないから、側にいて?」

「でも……!」

「朝になったら、全部、元通りだって保障する~~
 この一晩だけ休めれば、必ず……」

 そんなコト言ったって!


「熱が出たこと自体が、想定外だったんでしょうが!」
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