はだかの王子さま
 叫んだわたしに、星羅はそうでもないよ、と言った。

「万が一のために、忍者が結界を張って行ったから、ね。
 シャドゥ・スパイダーの蜘蛛の糸は、その糸が切れない限り、外から家が丸ごと『見えなく』なるんだ」

 もちろん、目に見えて透明にするわけじゃないけど、意識的に、人の意識から『家』に関心を払わなくなる。

 慌てていると、目の前に探してる鍵があっても見つからないのと同じ、原理らしい。

 だから、蜘蛛の糸が切れない限り……扉を開けて、外に出なければ、今日は誰も来なく。

 自分が多少弱ってても、それに付け込んでやってくる刺客は来ないから、大丈夫ってだって星羅は言っていたけれど。

 それって、裏を返せばお医者さんを呼べず。

 お腹が減っても、食事にも、コンビニにも行けないっていうことだよね?

 家にあるものだけで、なんとかしなくちゃいけないんだ……

 そう思ったとたん。

 響いて来るのは、わたしのお腹の音。



 ぐ~~きゅるるるるるる



 なんで、さっきより大きくなるのよ!


 この非常事態に鳴るなんて、も~~イヤ~~!
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