はだかの王子さま
 ……で、結局。

 わたしは、真っ赤なリンゴを目の前にして、うなるハメになっちゃった。

 だって、星羅が『食べたいモノ』ってわたしに言ったの、リンゴさん!

 今の星羅、見た目は肉食獣な~~の~~に~~

 もちろん、わたしは、料理初心者だし、難しいコトは絶対出来ないけれと!

 それでも『じゃ、リンゴ』とかって言わないでよね!?

 なんて。

 落ち込むのと腹が立つのが半々で、キッチンに入ったのに!

 いざやってみると、実は、リンゴをむくっていう、それすらも大変だったことに気がついた。

 まずは、そもそも、リンゴをむく道具が見つからない。

 食器籠の隅には、菜っ切り包丁に姿をかえた『0(ゼロ)』しか居ないし。

 ウチに果物ナイフが無い以上、あとは、ピューラーか、肉切り包丁って言う所だけど。

 ドコを探しても、見つかりません。

 お皿や、お箸みたいな、直接口をつけるモノ、とか。

 フライパンや、鍋みたいに、火にかけたら熱いだろうなぁ、と思うモノ以外ないってことは……

 きっと、そういうモノ、全部ゴブリンさんが、かかわってるんだろうなぁ。

 多分。

『ピューラーさーん』と呼んだら『はーい』って返事してどっからか飛んできそうだけど。

 ど~~ひいき目に見ても、それじゃあポルターガイストか、お化け、幽霊の類いだ。

 できればそれ、勘弁してほしい。
< 136 / 440 >

この作品をシェア

pagetop