はだかの王子さま
「フルメタル・ファングは、追放された僕に従って、こっちの世界にやって来たはずだけど。
 本当は。
 彼の都合に、僕が付き合ってる気がして来たよ」

 なによ、それ!

 お父さんが、望むなら。

 王さまにだって、なれるかもしれない。

 そう、言ったのは賢介もだったけれど。

 お父さんが王さまになる時は、星羅がいなくなってる時じゃない。

 そんなの、イヤ。

 わたしは、二人とも大好きだから。

 これから先も、ずっと。

 今までみたいに、仲良くしていてほしい……な。

 それは、わたしの、ココロからの願いだったから。

 わたしは、恐る恐る聞いてみた。

「もし、お父さんが本当に、世界を滅ぼす『覇王』ってヤツだったら、星羅は、どうするの?」

「う~~ん。
 立場上、僕は『王子』だからね。
 伝説のはずの『覇王』が復活し、世界を本当に滅ぼしにかかったり。
 そこまでヒドく無くても、今の王政を揺るがすって言うのなら、僕は先陣を切って戦わなくちゃいけないだろうけれど。
 相手が、フルメタル・ファングだったら……大丈夫だよ」

 そんなわたしの質問に、星羅は琥珀色の瞳を細めて笑った。

「フルメタル・ファングのコトは僕が良く知ってる。
 彼がもし覇王になっても多分、優し過ぎて、世界なんて滅ぼせないんじゃない?」

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