はだかの王子さま
初めての朝
朝、目が覚める寸前。
……夢を見たかと思った。
だって、誰かがソファベッドで眠るわたしを後ろから抱きしめていたから。
毛むくじゃらの狼の腕じゃない。
まるで、最高級の陶器のように白く、シミや、傷一つなく滑らかな肌。
そして薄く、でも、しっかりと筋肉のついた男のヒトの腕だった。
星羅の腕、だよね……?
目が覚めたばかりで今一つ調子の出ないわたしにとって『ソレ』はヒューマンアウトしてる星羅の、人間の手に見えた……んだけども!
白い腕は、着ているパジャマの上からわたしをぎゅっと抱きしめている。
胸……っ! 当たってますが……っ!
痩せっぽちで、口が裂けても巨乳なんて、言えない。
わたしの胸は、か~な~り~貧弱で抱き心地よくないしょうとも。
わたしの方は、とても恥ずかしぃんですけど……っ!
いっ……今まで。
お母さんが、いないせいか。
どんなに小さな時も、親と……お父さんと一緒に眠った記憶は、ない。
狼の姿の星羅に抱きついて、お昼寝、は結構してるけど……
ヒューマン・アウトした、人間の姿のままの星羅が、一緒の布団に入って来たことなんて、なかったのに。
今日は、どうして……!?