はだかの王子さま
 それは、星羅が、人間の姿になれなくて、他に、どこにも行けなかったからだし。

 しかも、もこもこ、ふわふわの毛皮の生えた獣の姿だったから。

 特に、何の意識もなく、ぬいぐるみみたいに『星羅大好き!』って飛びついて行けたけど……

 何だか、こんな。

 カッコ良い。

 大人の男性(ひと)と二人きりで一緒なら。

 色々考えちゃうじゃない。


 そ……その、ほら。

 キ……キス、とか、するかな?

 とか。

 もっと、いろんなこと、してくれるかな、とか。


 きゃ~~☆

 わぁ~~~!

 なんか恥ずかしい!

 で、でも別に、なんか色っぽいことするために、二人きりになるんじゃなく。

 わたしの好きな獣の姿になるために、誰も居ない所行くんだよね?

 ね?

 そうだと言って!

 恥ずかしいよ~~☆


 心の中で、じたばたしているわたしに気がついているのか、どうか。

 星羅は人差し指を、自分の頬に当てて『ん~☆』なんて考えてる。

「いつもの、僕の部屋でもいいけど、せっかくだからな……
 今日は、ホテルとか、行ってみる?
 衣装部の後輩が、なんか面白い所見つけたって教えてくれたんだ」


 う……うぁ。

 やっぱり、そこですか……っ!


 
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