はだかの王子さま
 まさか、って思った心配ゴトは、次に言った彼のセリフで決定的になった。

「地、水、火、風を操るのは、グラウェの影響を、一番受ける。
 だから、命を落とす可能性もあるが、ビビるコトはねぇ。
 使い方を間違えなければ、な。
 お前だって、女だろ?
 一ヶ月に一度、血をどばっと流すけど、ピンピン生きてるじゃん」

 ビビる!

 しかも、一ヵ月に一度って……!

「……女の子の日のコト……?」

 何、恥ずかしいコト言ってるのよ!

 ぼんっと、顔が熱くなる感じがする。

 きっと、わたし、顔が、真っ赤だ。

「もうイヤ! 嫌い!」

 って星羅に向かって投げた、クッションがどいたあと!

 わたし。

 そこに見えたコトに驚いて、叫び声を上げた。

「0さんっ!」

 0が星羅に引っ張られている!

 まるで、強力な磁石に鉄が引き寄せられるように。

 星羅と0の間に、見えない力が働いているみたいだった。

 その力は、とても強くて。

 ぷにぷにの0の肉球では、もう、小さな身体を支えきれなかった。


 カシカシカシッ


 0は、床に傷をつけてないようにするためか。

 何度も滑ってラチが開かず、とうとう床に爪を立てたけれど。

 両前足合わせて、計六本。

 見事な線を残して、星羅に向かって引きずられて行く。
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