はだかの王子さま
『覇王は偉大だから、それにあやかれるようにってな。
 ビッグワールドの王よりエラい、グラウェと歴史を司る神官が、仕事が出来るヤツに覇王由来の武具の名前をやることが、たまーーにあるんだよ!
 これは、そこらへんの魔法使いが先々を予見して決める名前じゃなく。
 運命をも変える『真名』だからな。
 もし、ソドニキュラエスが、生きているうちに覇王が蘇れば、ヤツは『本物の覇王の盾』として生きることになるんだぜ?』

 ふ、ふ~~ん。

 なんだか知らないけれど、大変なことなんだ……

 関心して聞いていると、0は、言葉を続けた。

『ソドニキュラエスは、前王からの魔法使いだ。
 ヤツは、現王のワガママっぷりにアタマキて。
 説教タレたから、こっちに飛ばされた、クソ真面目な野郎だったはずだ』

「そういうのを、普通。
 王宮付きの秩序と法を守る魔法使いが、現王に換言し、追放されたって言うんだけどね。
 ……その通り。
 自分が咆えればどうなるか、って言うことも判んないヤツだったら、そもそも、こっちの世界にいないし」

 ……それに……と、星羅は何かを言いかけそうになって、やめ。

 いろんな思いを振り払うように、リビングの奥を振りかえる。

「リモコンの君!
 テレビをつけてくれ。
 あんなに大きな音だ。
 きっとこっち側の人間たちが、そのまま放っておかないよ。
 それなら、蜘蛛の糸を切らなくて済む」

『ぴぴっ!』

 星羅に仕事を頼まれた、ゴブリンの一匹が、鳴いてテレビをつけた時だった。

 丁度、ニュース番組に当たったらしい。

 知りたかった情報が、テレビ画面いっぱいに大写しにされて。

 いつも真面目にニュースを読んでいるアナウンサーが、とんでもないことを叫んでいるところだった。

 
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