はだかの王子さま
 うぁ……!


 大きい……っ!!!


 翼の生えた、黒光りするでっかいトカゲ!!

 ううん!

 外国の絵本や、映画で見かけたヤツと同じなら、それは、竜。

 ひときわ大きな黒い竜(ブラック・ドラゴン)だ!!!

 尻尾を混ぜれば体長だけでも、マンションの十階分ぐらいはありそう。

 コウモリみたいな皮の翼を広げると、さらに、二倍ぐらいの大きさになるんじゃない!?

 それが、取材中のテレビカメラにその巨体を見せつけるように、低空での旋回飛行を始めたんだ!

『全国の! 全世界中の皆さん!!
 この中継を見ている皆さん!!
 信じられますか!?
 我々は、今!!
 絶滅したはずの恐竜か!
 それとも、宇宙から来た、謎の生命体に取り囲まれています!
 あああっ!
 今、我々のすぐ側を通り過ぎた、黒い竜の頭上に、ヒトらしき姿を二人、確認しました!
 一人は長い金髪をなびかせた、美しい女性……いや、男性です!!
 それに、もう一人!
 黒髪の少年です!
 彼らが、この大きな竜を操っているのでしょうか!?』

 叫ぶアナウンサーが、指を差しているその先の竜に乗ってるヒト達って!?

 まだ竜に乗る二人を写すカメラに映った映像は、遠く。

 あんまりはっきりしないけれど、星羅と……元の姿に戻った賢介……に見える。

 かもしれない。

 でも!

 ……なんで!?
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