はだかの王子さま
 テキパキと話し、まずそれが解決しないとテコでも動かないつもりらしい。

 ハンドの言葉に、美有希は恐る恐る聞いた。

『……それは、なに?』

『我が娘の命を守れ』

『……え』

『今後、様々な事情が出てくるだろうから、完全に無傷で守れとは言わない。
 けれども、シャドゥ家の人間が、直接ファングさまの娘の息の根を止めるのは、許さないという命令です』

『でも、そうしたらあたしとの命令で矛盾が……』

『ええ。
 でもシャドゥ家は『当主』の命令に『絶対』従います。
 姫が『命を奪え』と命令した時はまだ『次代の当主』で正式では無かったでしょう?
 ビッグワールドに帰るため。
 姫に一刻も早く自分を気に入って貰うため。
 真衣に怪我ぐらい負わせる覚悟のある者はいるでしょうが、姫が直接見ていない以上。
 最後の一線は、おそらく誰も越えないでしょう。
 多分『殺した』ことにして、レディ・マリオネッタか、スパイダーあたりに身柄を預けているんじゃないですか?』

 しれっと答えたハンドの言葉に、美有希の目が、見開いた。

『ハンド……! それって!
 真衣が、どっかで助かっているってこと?』

『高い確率で、多分。
 けれども、これは、非常に珍しいケースですからね?
 もう二度とは『無い』と思っててくださいよ?』

 言って、きり、と睨んだハンドに、美有希は、うんうんと頷いた。

 その様子を見て、ハンドはふ……と微笑み、後はもう。

 完全に無表情に言った。
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