はだかの王子さま
 よっぽど驚いたのか、王さまは目を見開いた。

 その様子を見て、ソドニは、けれども、と言葉を紡ぐ。

『私は何度か、ゼギアスフェルさまに会うべく、白薔薇宮殿に通う『内藤真衣』の姿を見ていますが、こんな感じの娘ではありませんでした。
 シャドゥ家が全面関与しているため、素顔はよく判りません。
 けれども、全体の雰囲気は、どこにでもいる、日本人の女の子でした。
 今夜、王が約束をかわしたフルメタル・ローザさまの方が、よほど近いのです』

 言って、ソドニは、わたしを見た。

『ですから『内藤真衣』がこんな!
 金髪で、琥珀色の瞳を持つ娘のはずは、ないのです!』


 ……へっ?


 金髪に、琥珀色の瞳って……!


 わたし!?


 まるで、夢の続きみたい!

 わたしは慌てて、今まで背中にあり、気にもとめてなかった自分の長い髪を、手ですくった。


 そして……見た。


 金……髪……だ……


 ウソ……!


 どこ行っちゃったの!?



 わたしのごわごわ黒髪!



 改めて、自分の指を見る。


 細い!


 その指で、わたし、自分の顔に触れ……とうとう夢の中で言ったのと同じセリフを叫んでた。


「す、すみませんっ!
 誰か! どなたか、わたしに鏡をくださいっっ!
 おねがいします!!!」

 
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